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そう自分に言い聞かせるようにして、鷹也はオフィスを後にした。
「遅くなりました」
「ううん。ごめんねー、急に呼び出して」
佐々は鷹也の分のコーヒーを用意しながら、声をかけた。
「鷹也くん、次の執行に関しての書類出来たから、確認してもらってもいいかな?」
「はい」
佐々がデスクに積んである書類の一つを、鷹也に差し出す。
それを受け取って、鷹也は自分のデスクに腰かけた。
デスクに白いマグカップと、おいしそうな焼き菓子が置かれた。
「はい、コーヒー。あと差し入れにもらったマドレーヌもどうそ」
「ありがとうございます」
にっこりと佐々は微笑んだ。
コーヒーを片手に書類を開く。
「ああ、ドラッグ関連か……」
『モグリ』の多くは、従来、強盗や傷害事件などで発見されることが多かった。
しかし、近年では何かのアンダーグラウドに関わる店の用心棒や、特殊な能力を活かした『商品』として雇われていることが多い。
書類をめくると、バーのボーイがPK特化型能力者ではないか、と書かれていた。
そのバーは、どうもドラッグの裏取引を行っている可能性が高いという。
「……これ、真白も使うべきですか?」
鷹也の質問に、佐々が「んー」と首を傾げた。
「場所が場所だし、警察もいるんだから、どっちでも大丈夫じゃない?」
「この春に女子大に入学したって、未成年で間違いないですよね?」
「うん。真白ちゃんは今年十九歳になるから、未成年であってる」
真白は知ったのなら、絶対に参加するというに決まっている。
けれど。
バーの摘発に真白を携わらせるのはどうなのだろう。
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