06 執行失敗

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 そう自分に言い聞かせるようにして、鷹也はオフィスを後にした。 「遅くなりました」 「ううん。ごめんねー、急に呼び出して」  佐々は鷹也の分のコーヒーを用意しながら、声をかけた。 「鷹也くん、次の執行に関しての書類出来たから、確認してもらってもいいかな?」 「はい」  佐々がデスクに積んである書類の一つを、鷹也に差し出す。  それを受け取って、鷹也は自分のデスクに腰かけた。  デスクに白いマグカップと、おいしそうな焼き菓子が置かれた。 「はい、コーヒー。あと差し入れにもらったマドレーヌもどうそ」 「ありがとうございます」  にっこりと佐々は微笑んだ。  コーヒーを片手に書類を開く。 「ああ、ドラッグ関連か……」 『モグリ』の多くは、従来、強盗や傷害事件などで発見されることが多かった。  しかし、近年では何かのアンダーグラウドに関わる店の用心棒や、特殊な能力を活かした『商品』として雇われていることが多い。  書類をめくると、バーのボーイがPK特化型能力者ではないか、と書かれていた。  そのバーは、どうもドラッグの裏取引を行っている可能性が高いという。 「……これ、真白も使うべきですか?」  鷹也の質問に、佐々が「んー」と首を傾げた。 「場所が場所だし、警察もいるんだから、どっちでも大丈夫じゃない?」 「この春に女子大に入学したって、未成年で間違いないですよね?」 「うん。真白ちゃんは今年十九歳になるから、未成年であってる」  真白は知ったのなら、絶対に参加するというに決まっている。  けれど。  バーの摘発に真白を携わらせるのはどうなのだろう。
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