75人が本棚に入れています
本棚に追加
6
柊の言葉にさも面白くなさそうに陽光は鼻を鳴らした。
柊は生まれた時からの幼馴染みへと改めて向き直った。
「陽光こそ照夫おじさんに頼りにされているよ」
柊が真顔ならば応じる陽光も又、真剣そのものの顔になった。
「そう言うおまえはどうなんだ?柊」
「陽光・・・・・・」
「おまえは俺のことを頼りにしているのか?――必要としているのか?」
「あぁ」
短いがはっきりとした柊の言葉に陽光はそれでもう――、満足だった。
十分だと思った。
柊が窓ガラスの向こう、今は星がきらめく夜空へと視線を遣って言った。
しかし、その目は濃紺の空を全く映していない。
陽光には柊が見ている光景が分かっていた。
つい三十分ほど前の、この夜空だ――。
柊が陽光に言うともなくポツリとつぶやく。
「どれだけのお客様が見て下さったのかな?」
「書き込みとかチェックしていないのか?」
心底呆れたような陽光の態度に柊は苦笑した。
そういう陽光だってけしてマメな質ではない。
柊からのメールにも返信しないこともざらだった。
「怖くてしていない。――それにそもそもそんなことをする人達だとは思えない」
「・・・・・・」
最初のコメントを投稿しよう!