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 陽光は柊へと返事をする代わりに、(ほが)らかに宣言をする彼の左手を取った。 「陽光――?」 『この世には全てに時があり、それぞれ時期がある』という言葉の通り、今が陽光にとってのその時であり時期でもあった。  の発案者がやっと自分の計画を話し始めた。 「――一番最後に打ち上げた花火がどんなのだったか覚えているか?」  陽光の言葉を受けて、柊は思い返してみる。 「あ、あぁ。――確か白い小さな花のかたまりがいくつも咲くようなのだったよな?」 目を閉じなくても、再び頭の中で容易く打ち上げられた。 今、夜空を見てもくっきりと映し出されそうなほどに輝く白い光は実に鮮明だった――。 「〆はしだれ柳かと思っていたから意外だった。でも、とてもきれいだった」  言葉の最後に想いを込めるかのように自分の手を握り返してくる柊に、陽光はさらに上回る力で応じた。 「玉名(ぎょくめい)――、花火の名前は別にあるんだが俺は『柊』と名付けた」 「え?」 「前に庭に咲いていた柊の花を見せてくれただろう?あれをイメージした」 「おれの、名前の花火・・・・・・?」
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