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陽光は柊の問いに言葉では答えない。
ただ、ゆっくりと深くうなずいた。
「親父がこんな時期だから戻って手伝えと言ってきた。これからはずっと柊の近くにいる」
「陽光‼」
柊は握っていた陽光の手を振りほどき、――両手両腕でその体へと抱きついた。
「だから俺をもっと頼りにしてもっと必要としてくれ。俺もおまえが必要だ――」
柊の頭の頂に陽光の言葉が降り注がれる。
柊にとってはその一つひとつがまるで火花のように熱く感じた。
「うん、うん・・・・・・」
まるっきり子供の時と変わらない仕種で泣き続ける幼馴染みを、陽光はしっかりと抱きしめる。
今夜、真冬の夜空には金色の月が上る代わりに白い柊の花が輝き咲いた――。
終
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