あの子を追って

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 私はすぐに旅に戻った。あの子の足跡を辿る旅に。  そうしてその果てに――見つけた。  花に囲まれ、静かに眠るあの子を。  帰れない、その絶望の果てに、眠りを選んだあの子を。  まるで白雪姫のようだ、と思いながら、私はあの子の手を取った。 「……起きて。迎えに来たよ」 「待ち合わせの場所に来る前に、世界ごと迷子になった君を」 「迎えに来たよ。ひとりぼっちでこの世界を救った君を」 「長い長い生と、帰れないことに絶望してしまった君を」 「……起きて。帰れる方法はまだ見つかってないけど、もうひとりじゃないから」 「……起きて。ねえ、一緒に、帰ろう」  閉じられた瞼が震える。ゆっくりと開かれていく瞳を、私はただじっと見つめていた。 「……夢かな。きみがいる。世界に隔てられて、もう会えないはずのきみが」 「夢じゃないよ。遅くなったけど、やっと、迷子になった君を見つけた」 「夢じゃないのか。……夢じゃ、ないのか」  そう言ってあの子は微笑んで、涙を一粒こぼした。  私はそっと、その肩を抱き寄せた。  
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