オンラインごっこ

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最近、パパがパソコンでオンライン会議をやっているのを目撃した妹。 妹は何を思いついたのか、ママから1枚の段ボールを貰ってくると、大きな面の中心にデカデカと四角を描いた。 そして私に「お姉ちゃん、これ切って」とそれを差し出してきた。 私は言われるがままに段ボールを四角く切り抜いた。そして4面あるうちの大きな面を1つ切り取れとの追加指示が出たので、大人しくしたがった。 何をするのか眺めていると、妹は段ボールをコの字に立てて机にペタペタとガムテープで固定し出した。 机といっても彼女専用のおママごとの机。だから何をしても怒られはしないが、何をしたいのか検討もつかない。 隣で一緒に見ていたママは「ふふっ」と笑った。そしてどこからか持ってきた、書類などを入れる透明な袋を一枚に広げ、妹へと渡した。 「これを貼るともっと近づくよ」 何に近づくのだろうと2人を眺めていると、ママが渡したそれを、大きく空いた穴を塞いでしまった。 「あっ」 そこでようやく、それがパソコンを模していることに気がついた。 妹は完成したパソコンの向こうに、オンライン会議の終わったパパを座らせ、フィルム越しにパパと話していた。 そんな楽しそうな2人を見て羨ましくなった私は、ママに「私もしたい」と話した。 ママは少し考えた後、「じゃあ私達も作ろうか」と同じものを2つ作った。 そしてご飯を食べるテーブルの上に並べると、それを挟んでご飯を食べることになった。 それだけで、いつもよりドキドキした。目の前のパパは遠くにいるみたいで、でも身体をずらしてダンボールの外からパパを見るとそこに居る。 隣に座っているママを見た。「オンライン食事、楽しいね」と話すと、ママも「楽しいね」と返してくれた。 それからたまに、オンライン食事をするようになった。 そんなある日の夜、トイレに目を覚ました私は、リビングの電気が付いていることに気がついた。 ドアを開けると、パパとママがお酒を飲んでいた。 「何してるの?」と聞くと、2人は「オンライン飲み会」と言った。よく見ると2人の間には“画面”があった。 妹から始まった“オンラインごっこ”。 今では家族全員でハマってます。
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