【11】全ての奴隷を解放する為に

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【11】全ての奴隷を解放する為に

 時宗と時定、それに御館さま。  久我が天下人にはまだ程遠い時代に戦国最強と恐れられた3人組が遂に集結したのだ。  当然全員が涙を流した。  時宗は問う。 「御館さま、何故にこのような環境に居られるのですか?貴方ほどのお方が……」 「分からぬ。わしとお前はあの戦で死んだ。だが気が付くと既にこの環境化で目覚めていたのだ。奴隷の村の牢獄で」  時宗は時定へ助言を乞う。 「時定、どう思う?」 「うーむ……考えられるのは転生召喚されるにあたって、召喚者にとって都合の良いように書き換えられてる可能性がございますね」 「って事は俺を召喚したのは……あいつだから時が来たら問い質すか」  ここで御館さまがビックリ発言をする。 「実はな、わしら以外にも当時の戦国武将たちが召喚されているようなんだ。ここの村を取り仕切る者が語っておったわ。なんでも、その者たちを全員捕らえるのが目的で奴らの言う闇の世界と戦わせるとな」 「糞共が。捕らえるだと?ふん、笑わせるな。ん?確かにそう考えると意外に府に落ちる事が沢山あるな」  時宗は今までの流れを思い返していた。  突然現れたルーヴェルに喧嘩を吹っ掛けて来たイケメン。王が騎士にしようとしたり傭兵でもいいと契約を持ち掛けてきたり、時定の村に案内したり…… 「なるほど……点と点が大まかではあるが繋がった気がする」  その言葉に時定と御館さまは直感的にこれから何を成すのか分かったのであった。 「時宗、傾くつもりだな」 「ええ、ただ今回はいつもの傾きではありません。真実を突き止める為に奴らの言う闇を目指し奴隷たちを解放します」 「分かってはいましたが、またとんでもない事を言い出しましたね。兄上には敵いませんよ」 「御館さま、主人公は俺ですが奴隷解放軍の総隊長をお任せしますよ。俺は前線で死合いたいので」 「ふふ。お前らしいな。というか主人公とか言ったらいかんでしょうが!これなに?物語?現実だよ!」 「では兄上、まずここを食い散らかしますか?」 「ああ。そうしよう」 「さらっとスルーしやがった!こんちくしょうが!」 「では、一旦引き作戦を考えよう。腹ごしらえもしなくてはな」  その時、御館さまの目の色が変わる。 「飯だと!?何食ってんだ?米か?魚か?肉か?」  時宗悟って聞いてみた。 「いや、御館さまこそ何食ってたんですか?」 「麦のカスを固めた物かバッタとかミミズとか、たまに皆で捕まえたネズミとか……」 「あ、いや、何か、すんません。取り敢えずこれからはそんな寄生虫まみれの物は食べる事は少ないかと……」 「本当か!?だがもし食に困ったら言え。昆虫の美味しい食べ方を教えてやる」 「いや、ちょっと幼馴染みとして言うけど、一旦黙ろうか」 「あ、すまん。取り乱した。飯の事になると、ついな」 「まぁ気持ちは分かりますよ。では兄上、一旦イキスまで戻りましょう。実を言うとあの村も元々は奴隷が多く居たんですよ。私が当時の長を倒し体制を一変させたので、我々の拠点としては一番かと思います」 「わかった。では一旦イキスに戻ろう」  こうして時宗と時定は半ば御館さまを拉致する形でイキス村へ向かうことにしたのだった。
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