第一章 Ordinary Days

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私には父親という存在がいない、だからどういう人だったかさえ知らない。 ただ知っている事と言えば二人が愛し合った証、ママがいつも言うかわいい天使ちゃん、即ち私が存在するという事といつも口ずさみリズムをとりながらピアノを弾く、二人の思い出のあの曲。 ただそれだけ…… 二人にはどんなドラマがあったのだろう。 そして、パパがこの世を去った時はどんな気持ちだったのだろうっていつも思う。 はたまたどんな所をデートしたんだろか? なんて… 私が生まれる前に事故で亡くなってしまったと言う。 7歳の時まで言われた通り本当にお星様になったと思っていた。 だからピノキオに出てくる『星に願いを』という曲が大好きで毎日毎日、DVDを再生していたっけ。 詳しく聞こうとするとママが淋しそうな顔をする。 だから二人の間ではタブーな話なのだ。 小さい頃、片親のせいでこんな虐めが今でもあるのかと言う位、嫌がらせにあった事もあった。 なんで私だけがこんな目に合うのかと、泣きながら八つ当りした事もあった。 だけど私を18歳で産んだママは人並み以上に働き、男がするような力仕事もこなしてきた。 だから今まで何不自由ない所謂ごくごく普通の生活をしてこられた。 ただ、しいて言うなら… そんな強がりで負けず嫌いのところが似てしまい、それがたまに傷だったりもするのだけど。 周りでは15歳にもなってお母さんと二人で?マザコン?なんて言う人もいるけどそんな事は気にしない。 だってそんなママが大好きだから。 一緒に笑って何気なくTVを見て、たまには喧嘩して。 友達には姉妹に見えるから特集のTVでやっている番組に自薦しろなんて言われたりもして。
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