第一章 Ordinary Days

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第一章 Ordinary Days

『あなたはね、ママがどうしても欲しくて、産みたくて望まれてこの世に生まれた天使なのよ。 知ってる? 同時にね.…花梨(かれん)、あなたもママの事を選んで生まれてきたのよ、赤ちゃんは親を選んで生まれてくるんだって。 お誕生日おめでとう。 もう15歳ね、私の天使ちゃんもこんなに大きくなっちゃって。』 ケーキのロウソクをフーッと消した。 この世に生まれて15回目。 この日だけはママと二人だけでお祝いをしている。 物心ついた時から“大好きな人が出来る迄”という二人だけの約束。 『はいどうぞ、開けてみて。』 テーブルには決まって二つのプレゼントが置かれる。 そしていつも決まって 『どっちがいい…でしょ?私は右!』 毎年恒例の為、ピンク色のリボンが付いた箱を選んだ。 開けてみると、前から欲しかったハート型のハイビスカスの中に小さなダイヤが付いたネックレスが入っていた。 『かわいいありがとう、ママ。 早く付けて、本当に本当にありがとう。嬉しい!』 思わぬプレゼントを目の前に、無邪気に満面な笑みを浮かべると思わず抱きついた。 『もう15歳なんだから、お洒落の一つもしないと彼氏出来ないわよ。じゃぁ、もう一つはママのね。』 いつも決まってお揃いの色違いの物を買ってくる。 この日は頑張った日だからと、自分にもご褒美をあげる贅沢な日だと言う。
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