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「赤月」と呼ばれる秘密組織がある。
世界中で諜報と破壊工作、そして暗殺で暗躍する裏組織の日本支部だ。
その「赤月」で最強の殺し屋と言われているのは、意外にもまだ年の若い女性、安藤カスミだった。
存在する非合法機関は、もちろん「赤月」だけではない。日本だけなら、「赤月」にも引けを取らない組織もある。「黒龍」はその一つで、「赤月」とシノギを削っている。
その「黒龍」最強の殺し屋・藤堂が、「赤月」のメンバーを殺害した。
「赤月」は当然、報復を決定した。
しかし、報復は難航した。藤堂は超一流の殺し屋でありながら、「ゴースト」の異名をとるほど、正体と居場所を巧妙に隠していたからだ。
一向に報復は進まない。そして「赤月」の最高幹部達は、堪忍袋の緒が切れた。
「カスミを投入する」
「しかし……カスミは北海道の任務で風邪を引き、病休中です。彼女は休みを奪った相手の命を奪います」
最高幹部会の決定に、中堅幹部の星野は恐る恐る現状を説明した。
「ふん。現場要員が、この私を殺せると? いいから、カスミを投入しろ」
鶴の一声で、カスミの投入が決まった。後に、この最高幹部は自分の決定を後悔する羽目になるが、今は知る由も無い。
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