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和真さんからオレと同じ匂いがする。そう思ったら背筋がゾクリとした。 もっと和真さんを感じたくて鼻を首筋に押し当てた。 体の奥がゾワゾワして身体が熱くなってくる。 オレ・・・なんか変。 和真さんと・・・したい。 いつも求められるばかりでなし崩し的にしていた行為を、今オレは自らしたいと思っている。 オレは体を捻って向きを変え、和真さんに抱きつこうとした。なのに和真さんの腕が腰を捉えて固定すると、彼はすっと立ち上がってしまった。 避けられた? 急に支えを失って傾いた背に再び腕が回され、オレはまたベッドに寝かされた。 そのまま部屋を出ていく和真さんの背中を見ながら、鼻の奥がツンとした。 もしかしてまだ怒ってるのかな? 逃げたから冷めた?そのくらいの思いだった・・・? オレが思ってるより和真さんに思われてる、なんて思ってバカみたいだ。 やっぱりオレは他のセフレさん達と変わらないんだ。 今までの女性達はきっと逃げたりしない。なのにオレは逃げるし、すぐに潰れるし、多分アレも下手だ。どうしたらいいか分からないからいつもマグロになってるし、そもそも同じ男だから柔らかい胸もないし、余計なものが股についてるし・・・。 オレのことなんてどうでもいいから、きっと身なりも適当になったんだ。 どんどんネガティブな考えが頭に浮かんで落ち込んでいく。 初めから引っ張られて流されて、ずるずるされるがままで、オレは自分の気持ちを考えたこと無かったけど、オレは和真さんのこと好きなのかもしれない。 キスもエッチも嫌じゃなかった。嫌じゃないどころか気持ちよくってもっとしていたい。もっともっとぎゅっとしてもらいたい。 きっとこれが好きって言うことなんだ。今までこんな気持ちになったことなかった。だから、彼女と自然消滅になってもなんにも思わなかった。告られて、嫌いじゃなかったから付き合った。ただそれだけだ。 嫌いじゃなかったけど、好きでもなかったんだ。 オレ、初めて好きな気持ちに気づいて失恋しちゃった。 我ながら気づくの遅いよ。あと一日早く気づいてたら逃げなかったのに。そうしたら、和真さんに冷められなかったのに・・・。 考え出したら止まらなくなった。こんな姿見せたらめんどくさい男だと思って余計に嫌われてしまう。 そう思って、どうにか涙だけは流さないようにこらえて、オレはとりあえずベッドから出ようとした。なのに、腕が震えて体重を支えられない。 腕だけじゃない。足にも力が入らず起き上がることすら出来なかった。 この感じは2週間前からおなじみの週末の体の疲労だ。いわゆる『やりすぎ』だ。 それでもどうにか起き上がろうと体に力を入れたら、トロリと中から出てくる感覚が・・・。 和真さん、付けずにそのまま・・・。 たしかに昨夜、体の奥で和真さんの熱いのを感じたのを覚えている。 あの時はたしかに激しくオレを求めてくれたのに・・・。オレ、なんかしちゃったのかな? 力を入れると出てきちゃうので動くことが出来ず、そのままベッドに横たわっていると、和真さんが急に入ってきた。 びっくりして咄嗟に言葉が出なかったオレのところへ来ると、おもむろに布団をめくろうとしたからオレは慌ててそこを押さえた。 シーツ汚したの見られてしまう。 散々恥ずかしい姿を見られてるし、そもそも出した本人なのだから今更なんだけど、やっぱりこんな姿は恥ずかしい。 必死に布団を押さえるけど力が入らない。あっさり布団を取られてシーツごと抱きかかえられてしまった。 あっという間で訳が分からず、でも落とされるんじゃないかという本能的な恐怖に思わず和真さんにしがみついてしまった。 オレはシーツに体を包まれてお姫様抱っこをされてるのだ。 その思いもよらない出来事に頭がパニクりそうになったけど、また和真さんのものが出てきてしまってそれどころではなくなった。 シーツがあってよかった。じゃなければ和真さんの服を汚すところだった。
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