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愛しのお兄様
私のお兄様は美しい。
青みがかった銀髪は、夜空から降り注ぐ聖なる月の光を受けているかのように輝き、宝石を嵌め込んだかのように澄み渡った菫色の瞳は神秘的。ほっそりとした面立ちは男性にしては少し儚げだけれど、そこが良い。時折見せる笑顔は春のせせらぎを思わせるような穏やかさがあり、紡ぐ言葉はどれも詩的でキュンっとしてしまいます。
あぁ、なぜあなたは私のお兄様なの?!
実の兄に懸想するなんていけない。そうは思っていても、私、ティラミス・フォン・パーフェ伯爵令嬢の頭の中はお兄様でいっぱいなのです。
けれど、これには致し方ない理由というものがありまして。
「カカオお兄様。本日は薔薇の香りですのね」
「ティラミスが好きな花だろう? 侍女に頼んで薔薇の香を焚いてもらっていたんだ」
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