大学デビューのススメ

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 昨日までは同じ歩幅で成長していた仲間達が一人、また一人と僕とは違う価値観で自身の世界を広げ巣立っていった。 僕はただ彼等の背中を嬉しいような、淋しいような複雑な心境で見送るだけだった。  しかしそんな事よりもここである問題が僕の前に立ちはだった。 それは自慰行為についてだ。 中学生といえば性について多感な時期、 ともなれば自慰行為への興味が高まるのは自然な事である。  その方法を初めて聞いた時は耳を疑ったが、いざ実践してみるとこれが中々どうして。 だが僕の右手だけでは後もう一押し、何かが足りない。 共に僕の欲望を手助けしてくれる物が必要だ。 三次元についてはその生々しさを目の当たりにしてしまったせいで拒否反応が起きている。  どうしたものかと途方にくれていたそんな時、僕を救ってくれたのは二次元の世界だった。 日本中の悩める少年達の理想を具現化した世界観は美しく、この世の何よりも優しかった。  そうやって二次元の世界に没頭していく内に気付けば周りにいた仲間達は何処かへ行ってしまい、代わりに「キモオタ」という二つ名が寄り添ってくれるようになった。  そして高校時代に「童貞クソメガネ」が追加され、めでたく「キモオタ童貞クソメガネ」という天下無双の称号を賜ったのだった。 そんな風にからかわれる事はあっても、虐められる事が無かったのは正に不幸中の幸いと言えるだろう。
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