ひのとり

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 ハッチの外に梯子を降ろす。金属の足が大地に突き刺さると、軽い砂ぼこりが舞った。  そして、階段を一歩一歩下りていく。   「用意はいいか?」 「大丈夫」 「よし、せーの」  白いブーツが赤い地面にどっしりと食い込んだ。  足を上げると、靴底の形がくっきりと刻まれた。  人類初の地球外惑星への足あとが、ふたつ。  国旗を広げ、二人は一緒に棒を握ると力を振り絞り、火星の大地に思い切り突き刺した。  地平線から昇る太陽の光が、旗に記された日の丸を照らして光彩を放つ幻影を映し出す。 「……ありがとう」  宇宙船に残った私は一人呟くと、体から赤い翼の鳥が一羽、飛び去っていく幻想を抱いた。  人類の真の歴史はここから始まる。  もはや神を必要とはしない、  さえぎるものは何もない。  無限に広がる宇宙はあなた達のものだ。  永遠に栄えよ、子供達。  まだ見ぬ未知(みち)に足あとを残すために。  ひ  の  と  り  ・  ・
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