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ボコンという音がすると、パラシュートで支えられたカプセルから、着陸ポッドが放り出され、自由落下を始める。
地表まであと五百メートルに迫っていた、一瞬の操作ミスでポッドは地面に激突、大破する。
「逆噴射ロケット点火」
有美は姿勢制御レバーとフットペダルをピアニストのように繊細に操作すると、斜めに傾いていたポッドは青い炎で軌跡を描きながら、蝶のように左右を舞う。次第に垂直な体勢を取り戻した。
「地表面まであと三十メートル」
下降速度を時速八キロメートルまで落とす、やがて赤い大地から逆噴射による土埃が立ち昇り始める。ポッドの着陸ポイントを中心に大きな円形の雲の輪が描かれた。
「八メートル、七、六、五、……? 着地したか?」
「そのようね」
振動をまったく感じなかったため、真守は着地の瞬間に全く気付かなかった。
「お見事、さすがエースパイロット……ロケット停止」
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