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「ミッションのお復習いをしておこう。この探査船はまもなく火星の周回軌道に入る、そこからタルシス高地にある基地コンテナ付近への軟着陸を実行する。注意する点は大気圏突入後、着陸の際の逆推進ロケットの角度調整。これについては非常にデリケートな制御が必要だから、事前に推進テストを行っておく」
「姿勢制御については私にまかせて」有美は日本が誇る優秀な宇宙飛行士、その目に宿す機械のような冷徹さから自信が伺えた。
「あとはロケットエンジンの確認とメンテナンス。ここはまかせたぞ、真守」
「了解です、二時間後に噴射テストを行います」
「よし、では食事を済ませたら作業に取り掛かろうか」
デザートの乾燥フルーツを食べ終わると、真守はエンジンの制御コンソールに向かいロケットエンジンの起動準備を行い、有美は推進コントロール用レバー、ペダルの確認を遂行した。私は準備が整ったところで噴射テストの開始を指示した。
「逆推進ロケット噴射テスト行います。第一ロケット点火……正常」
「第一ロケット手動操舵……問題なし」第二、三、四、五と問題なく検査は続いた。
「最後、第六ロケット点火……点火。船長、第六が点火しません」
「なんだって……?」
三人で制御コンソールに表示されたロケットの出力ゲージを見つめる。第六のみ数値が上がってこない。
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