第1話 輝く二人

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第1話 輝く二人

1c606e3f-fb6f-47cf-ae05-fea93d371774 すみません、ベンチに座りたいのですが どこでしょうか ああ、こっちだよ おじいさんだいじょうぶ はい ここだよ ありがとうございます 年だけはとりたくないな そうだな 昭和15年 美鈴さん、小遣いをためて自転車を買ったよ そうなんですね 後ろにのってみない いいのですか、ぜひ ありがとうございます いいよ 明さん身長も高いですし ハンサムですから あまり女性と仲良くしないでください 美鈴さんこそ、きれいだから 今日は今からどうする どこか連れて行っていってください いいよ、どこに行く そうですね 海を見に行きたいです いいね、そうしよう、白い波がきれいだね 本当にそうですね。 浜辺を走ってみない はい そら 明さん足が速いですね 美鈴さんが遅いからだよ 美鈴さんといっしょにいると不思議な気持ちになるよ 海と美鈴さんが溶け込んでみえる いっしょになって見えます 美鈴さんきれいですね 恥ずかしいことをおっしゃらないでください もう帰ります じゃあ、そんなこと言わないで 座っていっしょに話そう はい 美鈴さんと出会えてよかった いつまでもそばにいてほしい さっきも言いましたけど明さんハンサムだから 他の女性と仲良くしないでくださいね 怒りますよ もちろんだよ 美鈴さんは好きな人はいますか そんな事、聞かないでください わかっていて聞いているのですか どうだろう ハハハハ からかわないでください 好きな人がいればこのように 誠さんの自転車に乗ることはありません ありがとう いえ また自転車に一緒に乗ってくれますか はい キャ 初めて手をつないだね そんな恥ずかしいことをいきなりしないでください 幸せでたまらないんだ 明さんの手は温かい そうかな 今度は自転車を美鈴さんがのってみる わあ、いいですか 僕が後ろにのるから ええ、重くて運転できないかも 試しにのってみようよ はい ほら、左右に揺れているよ もう、明さんが重いから そうかな、美鈴さんの方が重いと思うよ もう怒りますよ ハハハ こわいな キャ 倒れた 大丈夫 大丈夫です よかった そこに座ろうか はい 美鈴さんは得意な科目は何 う~ん数学かな 僕は国語だな わかります 時々詩人みたいなこと言うから かっこつけですよ そうかな さっき美鈴さんが言ったように詩人と言ってほしいな かっこつけはよしてほしいな いえ、かっこつけです ほら両手をつなごうか 今度は両手ですか ほら キャ 回らないでください 目が回るじゃないですか え ごめんね抱きしめてしまった 初めてです 突然そんな事をしないでください ドキドキした はい じゃあ、今度は私から 大胆だなあ 明さんが先じゃないですか 明さんが悪いです じゃあ・・・・・・ 駄目です はずかしかった もう帰ります そんなにいやだったかな 意地悪 いっしょに帰ろう、僕が運転するから しっかりしがみついてね はい 明さん今日のことは忘れません でも、どうせ美鈴の事は忘れるんでしょうね 僕も生涯、忘れないよ 本当ですか ああ 約束ですよ うん、もう一回海にいこうか はい 何をするんですか 忘れ物を拾いに 忘れ物は何ですか 君のぬくもりさ 吉田明  18歳  藤井美鈴 18歳 
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