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目が覚めるとそこは。
――灰色だった。
白と黒、モノクロの世界。白黒の写真の中にでも入ってしまったように。
だけど砂は確かにさらさらとしていたし、風が少し、吹いていた。
埃っぽい匂いが辺りに漂っている。
そんな場所で目を覚ました。
目の前に広がっている空も、視界の端を漂う雲も、全部灰色で、最初は夢を見ているのだと思った。
だが、何度瞬きしても、その景色は変わらない。
――くしゅん。
埃っぽさに鼻先がくすぐったい。
ずびっと鼻を啜って、起き上がった。
「……何、ここ」
視界に飛び込んできたのは、廃墟と化したビル群だった。
寝転がっていた場所は砂になっている。元々コンクリートだったのだろう物も、風に吹かれてさらさらと舞っていた。
もしかして、と思う。
「地球、終わった感じ?」
つぶやいた声は、ただ風に流れていく。
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