君の大きな足あとと私の小さな足

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君の大きな足あとと私の小さな足

 青天の霹靂。その出来事はそういう表現がピタリと当てはまる。私だって期待していなかった訳ではない。バスケ部の試合には一年の頃から、よく応援しに出掛けていた。お目当てはバスケ部エースの井上大河くん。190センチを越す長身で甘いマスク。学校の女子たちが黄色い声をあげて彼を応援するのだ。スターとファン。私と彼の関係はそれ以上でもそれ以下でもないと私は信じていた。  私の下駄箱に大河くんからのラブレターが放り込まれるまでは。 『荒川唯さんへ お話があります。今日の十七時にバスケ部の部室へ来ていただけませんか? 井上大河より』  それをクラスメイトと一緒に見てしまった私は、私よりクラスメイトが浮足立ってしまい放課後まで大層な居心地の悪さを感じた。 「唯ーー!大河くんをフッたりしたら許さないからね!」 「大河くんは小さい女の子が好きなのか……」 「唯がお目当てなら性癖疑うべきなのかな?」  ほぼ好意的な意見だったが、クラスメイトが真っ先に気にするのは私の見た目だ。私は学校にいる誰よりも背が低く小さい。私服で歩くものならば小学生低学年に間違わられる。何より私自体もフワフワした服装が大好きなものだから、幼く見られることを楽しんでいる。だからこそ大河くんの性癖が疑われてしまうのだ。  まあ傍の意見など聞いていたら恋愛などできないだろう。私の彼に相応しいのは小学生だなんて陰口も聞こえてくるくらいだから。 「イタズラかも知れないでしょ?」  私はそう言ってクラスメイトの声を抑えたが嬉しくないはずがない訳であり、おしとやかを気取りながらも内心ガッツポーズをしていた。  大河くんと付き合えるならどんな困難でも私は耐えます!とか、あくまで内心で思っていた。
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