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看護師さんが病室を出ると、1人になった病室でしばらく涙が止まらなかった。
3時間後に医師の診察を受け、次回の診察の予約と注意事項の説明を受けた後、彰人さんに来てもらった。
「ひかり、お疲れ様」
彰人さんに身体を支えてもらいながら、彰人さんの車で家に帰る。
次の日が日曜日で良かった。喪失感による悲しみは簡単には消えない。
動けない私に代わって、彰人さんが家事をしてくれている。
「ひかり、大丈夫?」
何度も優しい声で聞いてくれる彰人さんの為にも、早く元気にならないといけない。
月曜日から仕事に復帰した。心と身体の傷が癒えた訳じゃないけど、子供たちと触れ合っている間は悲しみを忘れる事が出来る。
母に電話をかけて、今の気持ちを聞いてもらった。母は同じ言葉を を何度も繰り返す私の話をずっと聞いてくれていた。
「母さんに流産の事を伝えたよ。母さんが何も知らずに赤ちゃんの事を聞いたら、ひかりが悲しい思いをするだろうからね」
水曜日に、仕事から帰ってきた彰人さんが言った。確かにそうだ。
「ありがとう」
これでしばらくは義母からは連絡はないだろう。
その間に元気になって、いつも通りに話せる様にならないと。
「ひかりが落ち着いたら、旅行に行こうよ。楽しい思い出をいっぱい作ろう」
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