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彰人さんは義母と仲が良い。それが悪いなんて思わない。だけど、夫婦の事は義母には話して欲しくなかった。
義母が不妊治療を勧めてきたって事は、彰人さんも不妊治療をした方が良いと思っているの?
私が31歳だから?
初期流産したとはいっても、一回は妊娠出来たんだよ。
まだ流産してから半年しか過ぎてないのに、もう不妊治療を勧めるなんて。
義母と彰人さん、どちらにも腹が立ってきた。
彰人さんは私の気持ちより義母の言葉を優先するの?
流産した後、彰人さんがずっと私の悲しみに寄り添ってくれた事を忘れた訳じゃない。
だけど……。
「ただいま」
彰人さんが帰ってきた。笑顔で私の側にやって来る。
「おかえり、遅かったね」
いつもと同じ様に笑顔でいる事なんて出来ない。自然に言葉も刺々しくなる。
「ひかり、何かあった?」
彰人さんはすぐに私の異変に気づいて、心配そうに私の顔を覗き込む。
「お義母さんが……」
我慢する事なんて出来なかった。涙を堪えながら、彰人さんの言葉を待つ。
「母さんがどうしたの?」
「彰人さんがお義母さんに私が生理不順だって言ったんでしょ! だから、お義母さんが不妊治療を勧めて……」
「不妊治療?」
彰人さんは驚いた顔で私を見た。
「知らなかったの?」
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