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夜、義父の車でレストランに向かう。
助手席に彰人さんが座り、後部座席には私と義母が座っている。
「ひかりさん、妊娠おめでとう」
「ありがとうございます」
「男の子かしら、女の子かしら、どっちでもいいわね。楽しみだわ」
義母は嬉しそうに話しかけてくる。妊娠に不安がなければ私も喜べるのに、今は頷くのが精一杯だ。
「着いたよ」
先に車から降りた彰人さんが後部座席のドアを開けてくれた。
これで義母と離れられると少しホッとした。
義両親が連れてきてくれたのは、ピアノの生演奏が聴けるフランス料理のレストランで、
ヒレステーキのコースを予約してくれていた。
義両親と一緒にコース料理を食べるなんて、緊張する。もっと普通のレストランで良かったのに。
でも、妊娠のお祝いのために連れてきてくれたんだから、笑顔でいなくちゃ悪いよね?
オードブル、スープ、魚料理、メインの牛肉のヒレステーキ。
義母の話とマナーに気を使いながらも、美味しくいただいた。
「ひかりさん、仕事は辞めるのよね?」
「えっ、続けますけど?」
まさか、そんな事を言われるとは思わなかった。
「だって、保育士なんて大変な仕事じゃないの。家でゆっくりしていた方がいいわ」
「大丈夫です。安定期までは働くつもりです」
義母が驚いた顔で私を見る。
「彰人、あなたもひかりさんが仕事を続けるのは反対よね?」
「別にいいと思うよ」
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