不妊治療

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彰人さんは賛成してくれたけど、雰囲気が急に悪くなっていく。 「まあまあ、今日はお祝いなんだから、その話はまた今度ゆっくりしたら良いじゃないか。次はデザートがくるよ」 義父が悪い雰囲気を変えようとしてくれたのが嬉しかった。 いちごのミルフィーユが運ばれてくる。私が大好きなデザートだ。 だけど、フォークで口に運んでも、美味しいと感じる事が出来なかった。 家に帰ると、彰人さんについ愚痴を言ってしまう。 「確かに母さんは口出しが多いけど、妊娠を喜んでお祝いまでしてくれたのに、そんな言い方はないだろ? 別に仕事を続けるかどうかはひかりが決めたら良いんだから」 「そうだけど。口に出されると気にしちゃうよ。ごめん、私、不安でイライラしてるのかもしれない。もう寝るね」 これ以上、彰人さんと話していたら、言わなくても良い事まで言ってしまいそうだ。 無事に赤ちゃんが大きくなってくれていたら、今の不安は消える。それまでの辛抱だよね。 産婦人科に行くまで、不安で仕方がなかった。 義両親との会食の次の日から、つわりの様な症状もあり、職場で吐きそうになるのをこらえるのがつらかった。 でも、つわりが始まったって事は赤ちゃんは無事に育っているんだよね?
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