episode 12

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episode 12

引っ越しの日が明日に決まった。 今日は快さんのいない時間に自分の部屋に戻って荷づくりやら不要な物の 分別をしていた。 『佐那、ちょっと遅くなりそうだ』 「じゃあこのまま片付けて明日帰るようにするね」 『終わったらそっちに行くよ』 「大丈夫よ」 『佐那に会いたいから行くよ』 「時間に余裕があったらでいいからね」 とメッセージを送る。 本当に快さんは・・・。 と思いながらもドキドキする自分もいる。 それからしばらくして、時計を見ると22時だった。 一息ついているとインターフォンが鳴る。 誰だろうと思ったら画面には泰司が映っていた。 「何?」 「琉衣に鍵を返すの頼まれた」 「そう。ポストに入れておいていいよ。」 「少し話がしたい」 「・・・・」 無下にも出来ず、仕方なく自動ドアのロックを開けた。 少しして部屋のチャイムが鳴る。 「この前は悪かった。」 「・・・・ここじゃなんだから入ってよ」 「うん・・」 思い空気が流れる。 泰司が鍵をテーブルにおく。 「ありがとう。大家さんに帰さないといけないから」 「本当にあいつと一緒に住むのか?」 「そうだよ」 「今までは続いてなかったじゃん」 「今までの人とは違ったの。」 「俺のがずっと佐那を見てた。」 「私は泰司をそういう風に考えたことがない。」 「あのおっさんとは続かないよ。金持ちのおっさんが一時的に若い女が よくなっただけだよ」 「もしそうだとしても、私が決めたことだからいいの!もう帰って」 と私は玄関に向かった。 私の後を泰司が追いかけてきて壁に私を追い詰めて両手を掴まれた。 「なんで?俺はずっと佐那が好きだった・・・なんで俺じゃないんだ・・・」 「泰司、離して」 「嫌だ」 泰司は私にキスをしてきた。 「やめて!泰司!」 泰司が首筋にキスをしてきた時に、玄関の扉が開いた。 私と泰司は扉に視線が動く。そこには快さんがいた。 私達の状況をみるなり、泰司から私を引き離した。 「お前何やってんだ!次は許さないっていったよな」 快さんの声が低くて怖かった。 「・・・・」 「快さん・・・大丈夫だから。」 「佐那・・・」 「泰司、私は泰司を嫌いになりたくない。泰司の気持ちに気づかなくて ごめんなさい。でも私は、泰司とは一緒にいることは出来ない」 「・・・分かった・・・ごめん・・」 そういうと泰司は部屋を出て行った。 「待てよ!」 泰司を追いかけようとする快さんを私は引き留める。 「佐那!」 「快さん大丈夫だから・・・」 「首筋にキスされてた。他には?」 「・・・キスされた・・・」 快さんはそれを聞くとすぐに、私を部屋に入れて私の唇を貪るように奪う。 「快・・」 「消毒だ。アイツが触れたとこは全部」 と強引に私をリビングにつれていきソファーに押し倒す。 「快・・待って。お願いだから・・・」 私の言葉を無視して首筋にキスをする。 「やめて。怖いよ・・・か・い・・」 涙がこぼれていた。それに気づいた快は私を優しく抱きしめてくれた。 「頭に血が上った・・・怖がらせてごめんな。」 その日はそのまま家で過ごして、翌日すべての荷物を運ぶんで 引っ越しは無事終了した。 「これで、2人の生活が始まるな。」 「そうだね。」 と楽しみにしていたが2人とも仕事が忙しくほぼ夕食は別で、 ゆっくり2人で話すことも出来ず、一緒に眠ることしかできなかった。
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