episode 10

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episode 10

お見合いの日。だからなんだという感じで仕事は忙しい。 でも今日の事を上司は社長から聞いているから、定時後しばらくして 早く帰るようにと私に声をかけた。 「では。お先に失礼します」 とトイレでメイクを整えて待ち合わせのホテルに向かう。 ロビーに着くとスーツの男性が私のところに歩いてきた。 「柳さんですか?」 「はい」 「私、豊島社長の秘書をしております、武智と申します。ご案内します。」 と私をエスコートしてくれた。 ホテルの最上階にあるレストランの個室に案内される。 「社長。柳さんをお連れしました」 「おお。柳さんよくきてくれました。私のわがままに付き合ってもらい 申し訳ない」 「とんでもない。」 「こちらがお声がけしたのに、うちの息子が遅れてしまっていて申し訳 ない。」 「そうなんですね」 ちょっとよかったかも。心の準備出来てなかったし。 「何かお飲みになりますか?」 とお店の人に尋ねられる。 「そうだね。柳さんはお酒は飲めるのかな?」 「はい。」 「じゃあシャンパンを頼むよ。」 「かしこまりました」 「柳さん、ひとまず座ってください」 「ありがとうございます。」 「息子の写真がなくてね。歳は35で、仕事はグループ会社を1つ任せて います。いつまでもふらふらしていて困っています。」 35歳。8歳年上で社長! 「息子さんはオモテになるんじゃないですか?」 「さあ特定の人を紹介されたことはありませんな。」 遊び人?? 「このお話をいただいたときにも言いましたが、豊島さんの息子さんなら 私のような一般人ではなくもっとよい家柄のかたとの方がよろしいのでは ないでしょうか?」 「私の妻もあなたの言う一般人ですよ。あなたの話は聞いていました。 私の会社にヘッドハントしたいと思っていますよ」 「とんでもないです」 「柳さんはお付き合いされている方とかいなかったのかな?」 「お話をいただいた時にちょうど別れたばかりでした。毎日忙しいので お付き合いしても、私が仕事を優先してしまうので長続きしません。」 「そうですか。うちの息子も仕事ばかりとは聞いています。」 「一緒には住まれていないのですか?」 「いい歳ですしね。仕事でも定例会で会うくらいですよ。 柳さん、息子にあっていただいて嫌だったら私に遠慮なく嫌だといってくださいね」 「は・・い」 豊島社長いい人だな・・・。2人で談笑していると、 「遅れました。すみません。」 と入口から声がした。来た・・・・一瞬で緊張する。 「快、遅いぞ!お待たせして・・・」 かい?? 「申し訳ありません。豊島 快と申します」 とその人はいって顔を上げた。 「・・・・・」 私はびっくりしてしまった。お見合いの相手が快だなんて・・・。 「柳さん?」 「あ・・柳 佐那です」 快も私をみてびっくりしていた。 「快。座りなさい。」 「はい。」 快は私の前に座った。そこに秘書の方が豊島社長のところにやってきて 耳打ちをした。 「柳さん、申し訳ない。急な打ち合わせがはいってしまい社にもどらないと いけなくなりました。 「あ・・ハイ・・・私は大丈夫です」 「快、ちゃんと柳さんをエスコートしなさい」 「分かりました」 「柳さん、後日お返事をお聞かせください」 「はい。今日はありがとうございました」 と私は豊島社長と秘書さんを部屋の出口まで見送った。 扉が閉まった時、後ろから温かいものが私を包み込んだ。 「まさか見合い相手が佐那だったなんてな」 私の好きな人の香りで包まれる。 「快、豊島さんだったのね」 「俺、初対面の時に言ったけど?でも佐那ベロベロに酔ってたからな」 「・・・」 「さて、何か食うならここじゃなくて別のとこいこう。 親父の息のかかってないとこ」 「・・・・」 「佐那?どうした?」 「なんかびっくりしちゃって・・・」 快は私の体を自分の方に向けた。 「佐那にまた会えた。よかった。」 と強く私を抱きしめた。そして体を離すと私にキスを落とした。 「1週間ぶりの佐那を食べたい。俺のマンションいこう」 と私の手を引きホテルを後にした。 マンションに着くとすぐに快は私を求めた。 私を抱きかかえベットにいく。 荒々しく洋服を脱がす。 「俺のキスマーク消えそうだな・・・・」 快の愛撫を素直に受け止めていると快が急に止まる。 「快?」 「佐那、これ誰につけられた?俺以外の男と寝たのか?」 「え?そんなことしてな・・い」 ふと昨日の泰司との事を思い出した。 「俺のじゃないキスマークがある」 「うそ・・・」 いつの間につけられたの? 快は私の体から離れた。 「説明してくれ。」 「昨日、弟が家にきてて・・・弟の友達の泰司も一緒で・・・」 と私は昨日の事を快に話した。 「そいつ、俺に宣戦布告してきたな。」 「・・・」 「佐那はそいつがいいのか?俺は佐那を俺の物にしたいと会うたびに 告げているが、佐那は俺の事をどう思っているんだ?この見合いを どうするつもりだ?」 「私は・・・泰司の事は恋愛対象じゃない。」 「そいつの事はどうでもいい。佐那が俺とどうなりたいかを聞いている」 「・・う・・ん」 「俺は佐那と出会えてよかった。女遊びが激しかったことは消せない過去 だが、現在と未来は佐那にやる。俺は佐那と結婚前提で付き合いたいと親父にいう」 「快の事は好き。平日が淋しかった。快のキスマークが消えていく時に、 他の女の人といるのかなって考えてた。 今までは、平日は仕事って思ってたけど、平日の会いたいって思ったのは 快が初めて。快との未来に結婚があったらいいなって思う」 そういうと、快は私をぎゅっと抱きしめた。 「俺も佐那は可愛いから心配してたんだ。俺といない間に誰かにって。 俺に宣戦布告してきた奴におじさんの底力をみせてやる!」 「おじさんって・・・」 「8つも年上だったら佐那からしたらおじさんだろ?」 「8つ上になんて見えないよ」 職場の同じ年の人はおじさんに見えるけど、快はちゃんと自分をメンテナンスしているし、会社を任せれているだけあって身のこなしもスマートだ。 「佐那の体の事は隅々までしっているが、いろんな佐那を知りたい。 俺の事も知って欲しい。お互いに忙しいのは分かっているが、平日も 少しでもいいから会いたい。」 「私も会いたい」 「お互いの家で泊まりあおう。本当なら毎日抱きたいところだが、 一緒に眠れるだけでもいい。とにかく毎日、佐那に触れたい」 ストレートに気持ちを伝えてくれるのは嬉しいけど、恥ずかしい。 「弟にも言っておいてくれ。俺のロックナンバー伝えておくから」 「言っておきます。番号も変更して快に連絡する」 「佐那。風呂入ろう!今日はのんびり佐那と過ごす。週末もあるしこれからは 毎日佐那に会えるんだから。」 とこの日は2人でいろいろな話をして過ごした。 「明日、親父のところにいこう。それで佐那のうちにも行きたい。」 「そんな急に言われても・・・お見合いの話もしてないから・・・」 「じゃあ電話しろよ。俺は武智に連絡するから」 と快は携帯をもって自分の部屋に行った。 私も仕方なく母に電話をする。 『佐那?どうしたの?』 「お母さん、明日ってお父さんもお母さんも家にいる?」 『いると思うけど。帰ってくるの?』 「紹介したい人がいて・・・・」 『やだそうなの?楽しみだわ。お父さんにも言っとくわね。』 「午後になると思うからまた連絡するね」 『分かったわ』 「どうだった?」 「明日は父も母も家にいるって」 「よし!こっちも大丈夫そうだから昼飯食ったら出かけよう」 いろんなことがすごい速さで進んでく。 このまま幸せな時間が続けばいいな。
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