episode 13

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episode 13

やっと週末。土曜日だけど快は仕事らしい。 「佐那。そろそろドレスを準備しておかないとだな」 そうだった。パーティーに招待されているんだった。 「夕方まではかからないから、その後にドレスを選びに行こう。 俺もスーツを仕立てる。久しぶりに2人で食事して今日の夜はゆっくり 佐那の充電をさせてくれ」 と快は私を後ろから抱きしめる。 平日は本当に2人の時間がない。寝顔を見て安心する感じだ。 一緒に住んで本当に良かったと思う。 快は私を自分の方に向けて、キスをくれる。軽いキスを何度も繰り返し てどんどん熱いキスになっていく。 「快・・仕事・・」 私が唇を開けた瞬間に快の舌が入ってきて私の口の中を愉しむ。 「ん・・・」 体がどんどん熱くなってくる。しばらくこんなことをする時間もなかった からお互いにヒートアップしていく。 快の手が太ももをまさぐりながら下着の中に入ってくる。 耳元で 「俺が欲しくてこんなになってるんだな。佐那エロいなあ」 と囁かれ立っていられなくなる。 「やだ・・・」 「そんな顔でみられたらたまらなくなる。残念だがおしまい。夜まで お預けだ」 そういうと、また軽いキスをして出かけて行った。 私はその場に座りこんでしまった。 快を体が求めている。夜までこのままなんてひどい・・・。 悶々としたまま平日に出来ない家事をこなす。 お昼を食べていると快から 『15時にR&Mで待ってて。』 と連絡がきた。 R&Mは私には手の届かないセレクトショップ。 そんなところのドレス・・・・着こなせる自信なし。 久しぶりのデートだからおめかししよう。 いつもはパンツスーツだけど、今日はスカートにしてメイクも念入りに! 15時少し前にR&Mについて勇気をだして中に入る。 「いらっしゃいませ」 と品の良い女の人が私に近寄る。 「今日は何をお探しですか?」 「え・・と・・ドレスなんですが、彼と待ち合わせをしていまして・・・」 「さようですか。ではゆっくりご覧になってお待ちください。気になるものが あればお声がけください。」 「ありがとうございます」 15時になったけど、快はまだ来ない。仕事が伸びてるのかな・・・。 ショップのドレスコーナーに行く。いろんなカラー・スタイルの物がある。 「まだ来られないですね?」 さっきの店員さんが声をかけてくれた。 「すみません。」 「いいんですよ。そんなつもりでお声がけしたのではないので。 よかった先に選んでいましょうか?」 「ありがとうございます。」 「どのようなパーティーなのでしょうか?」 「創業記念のパーティーと言ってました」 「ドレスの丈はどのくらいがよろしいですか?」 「すみません。私、よくわからなくて・・・ドレスなんて来た事ないので」 「そうですか。では私の方で何着かお客様にお似合いそうなものを選んで それを試着していただくのはどうですか?」 「その方が助かります」 「かしこまりました」 私を椅子に案内すると、その店員さんは3着ほど持ってきてくれた。 薄いピンクのスカート部分がふんわりとしたワンピース、 黒のちょっと胸元の開いた大人っぽいタイトロングワンピース、 薄紫色の胸元がふんわりして丈はミディアムの大人可愛い感じのワンピース 「どれもステキです。でも私に似合うかどうか・・・」 「では、ご試着してみましょう」 快はまだこない・・・。電話をしても応答なし。 層にでもなれって感じで試着する。 ピンクのふんわりワンピース 『かわいいけど、若い??』 黒のロングワンピース 『胸元とおしりのラインが・・・』 薄紫のワンピース 「これいいですね。」 「どれもお似合いでしたよ。お写真撮りましたのでお連れの方がみえたら みてもらいましょう」 そこににぎやかな声が聞こえてきた。 『快もしかして私にドレスを選んでくれるの?』 『違う。人と待ち合わせをしている。』 『私を驚かせる予定だった?』 『彼女と待ち合わせをしている。』 『彼女?』 男女の声。男の声は私の大好きな人の声。女の人は誰なの??? 私は奥の試着室から声のする方へ歩いていった。 私を見つけた快はすぐ私に駆け寄った。 「佐那。ごめん。待たせてしまった」 「大丈夫。お店の方が一緒にいてくれたから」 そんな私達を鋭い視線で見つめる1人の女の人。 「快、誰?」 「お付き合いしている人です。」 「そんなこと聞いてない。」 「父のパーティーで紹介するつもりです」 「・・・私と結婚するっていったよね?」 え?結婚?・・・・。 「いつあなたと結婚するといった?ここではお店の方に も私の彼女にも失礼ですので、またの機会にしてください」 とゆっくりとちょっと怖い感じで伝えると、その女の人は店から出て行った。 「快・・・・」 「ごめん。ドレスいいのあった?」 「う・・・ん」 空気を換えるべく先ほどの店員さんがパットをもって私達に近づく。 「豊島様のお連れ様が先ほどご試着されたお写真です。」 「3つともいいな。でも最後のが一番いいな」 「お連れ様もそうおっしゃっていました」 「じゃあこれにする。これにあった小物も準備しておいてほしい。 あと俺のスーツも詳細は後でテーラーに連絡しておく。受け取りは 来週の土曜日16時に2人で来るからメイクなども頼む」 「かしこまりました。お待ちしております。」 私達はお店を出た。 「何が食べたい?」 「・・・」 「佐那?」 快が私の顔を覗き込む。 「ご飯はあとでいい。さっきの人の事、ちゃんと話して欲しい」 「そうだよな。分かった。何かデリバリーして家で話そうか・・・」 「う・・ん」 せっかくのデートだったのに・・・結婚するはずの女の人がいたなんて・・。 部屋についても2人とも無言。 お互いの部屋で着替えてリビングに戻る。 「あの人は、桜咲加奈(さくらざきかな)といって、俺が遊んでた時に 付き合ってた女だ。他の女は別れてもあとくされがなかったが、あいつは 別れに応じてなくてしつこかったんだが音沙汰がなくなって自然消滅したと 思っていた。さっきは偶然会っただけだ。」 「・・・・・」 「俺には佐那だけだ。それは信じて欲しい。」 「たくさんの女の人と関係があったのも事実でしょ?」 「・・・ああ・・。何とかするから心配しなくていい」 「・・・」 いろいろなことがあって、2人の時間は全然楽しくなかった。 一緒に寝て快は私を抱きしめてくれたけど・・・。 快がモテるのは分かる。女の人と遊んでいたという話は聞いてた。 でも実際に目にするとやっぱり辛い。 日曜日もぎこちない2人の時間が過ぎてゆく。 業を煮やしたのか快が私の手を取ってベットルームへ連れて行った。 「佐那。怒ってるのか?言ってくれないと俺はどうしたらいいのか分からない せっかく佐那との大事な時間なのにこんな風に過ぎていくのは嫌だ。」 「私だって同じだよ。でも・・・やっぱり快はモテるんだなって思って あの人きれいな人だったし・・・」 そういったら快がどこかへ行ってしまった。 嫌われてしまったのだろうか・・不安になって涙があふれてきた。 快が部屋に戻ってきたら私が号泣していたので驚いていた。 「佐那、どうした?」 「嫌いにならないで・・・」 と私は快を抱きしめた。快は私を抱きしめ返してくれた。 「嫌いになるわけないだろ?俺が佐那に嫌われる状況だろ?」 そういうと快は何かを取り出して私の右手の薬指に・・・・ 「快・・・これって・・・」 「ひとまず右手な。左手は一緒に選びにいこう!」 と私を更に強く抱きしめた。
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