episode 21

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episode 21

最近やっと佐那の笑顔がみられるようになってきた。 今のところ記憶はまだ戻っていない。 もうそろそろ散歩でも行ってみようかと思う。 「佐那、今日は外に散歩でもいってみるか?」 「うん!」 佐那と2人で外に出るのは久しぶりだ。 ここには俺たちの事を知っている人はいないから何も気に せずにいられる。 俺たちは手をつないでビーチを歩いて。 誰かに見られていることも知らずに・・・。 【加奈&尚人】 「快みーつけた!ラッキー。でも幸せそうなのがむかつく。ホントに 壊れかけてるの??」 「誰も自分たちを知らない土地で心のケア中ってとこだろ」 「で、どうするの?」 「もう少し様子を見よう。ひとまず誰かに尾行させておく」 ホテルの部屋に戻っても、イライラした。 快のあんな笑顔なんて見たことないし・・・。 自分の目の前で他の男に抱かれた女なのにどうしてあんな優しい顔で 見つめてんのよ! あの女も、好きな男の目の前で知らない男に犯されたのに、平然として 一緒にいられるものなの? コンコン 「加奈?」 「お兄様?どうしたの?」 「今日あいつらがディーナーをする店を掴んだ。俺たちも予約したから 支度しろ!」 お兄様も珍しくあの女に執着してる気がする。 いつもなら1回やったら終わりなのに・・・。 堂島さんもまたお願いしたいとか言ってた。 あの女の何がいいの? イタリアンのお店で快たちはVIPルームを予約していた。 その近くのVIPルームに私たちはいる。 「店の奴を買収したから情報は入ってくる」 「さすがね。」 食事をしていると、お店の男の人がやってきてお兄様に伝えている。 「佐那がトイレに行ったそうだ。お前もいってこい。」 「分かったわ。」 私はトイレに向かった。 私が入った瞬間に、あの女がトイレから出てきてメイクを直している。 私にはまだ気が付いてない? 私は隣に立った。 「こんばんは。」 と話しかけた。 「え?あの・・・どこかでお会いしましたか?」 ・・・何言ってるの?芝居? 「先日、パーティーでお会いしましたよね?」 「パーティーですか?」 「そう。日本で」 「日本で?・・・すみません。覚えていなくて・・・お名前をお伺いしても いいですか?」 本当に覚えてないの? 「人違いだったかもしれないから大丈夫。失礼」 動揺もしてなかった。初めて見るような顔をしてた。 どうなってるの? 「どうした?ショックを受けていたか?」 「私の事を覚えてなかったわ」 「は?」 「あの女、記憶がないみたいだった。」 「・・・・なるほど・・・」 「何がなるほどなの?」 「憶測でしかないが、ショックによる記憶障害ではないか?」 「どういうこと?」 「あの出来事がショック過ぎてその記憶を自分の中にしまって蓋をした。」 「・・・・」 「だから俺たちに会って記憶を戻さないようにするために日本から 離れたんだな」 「なるほどね。」 それだけショックな出来事だったと言う事ね。 「加奈。日本に帰るぞ」 「え?まだ快に会えてないわ」 「最後に2人での幸せな時間を過ごさせてやれ。日本に戻ってきたら お前のものにしてやるから」 「ホントに!」 「だから、帰るぞ」 と私達は3日しかモルディブにいなかった。 でも重要な情報はつかめたからあとは罠を仕掛けるだけ。 楽しみだわ。
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