第一章 ― 繋者 ―

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第一章 ― 繋者 ―

 深夜二時、暗がりの六帖洋室から漏れる落ち着きのない光の拡散。黒い艶やかなコントローラーを握りしめる手には微かに汗が滲む。ここ数ヶ月、部屋に籠り時間を忘れるほど夢中になっているのは、『サバイバル』という名の通信型対戦ゲームである。 単純に領地を奪うため敵の島へ侵入、そして島の王冠を手にすればその領地を入手でき、最終的に多くの土地を手に入れたプレイヤーが称えられる。表向きはそう販売されていたが、オンラインゲーマー達が夢中になる理由はそれだけではなかった。  このゲームの本当の魅力――、それは残虐すぎる殺し合い。  在り来たりの刃物や銃等使わない。全ては魔術を利用し、多くの敵を必要以上に苦しめながら殺し、殺害した成果により与えられる深紅色の水晶の数によってキャラクターの肉体はより強靱に強力な魔術を習得する事となる。午前二時三十分、そのフィールドに、待ちわびたが来た。  真っ白い大きな羽根を羽ばたかせ現れた白い影。 「ファイヤーゴーストドラゴン!」  奴の真っ白いベールに包まれた奥にあるであろう強靱な肉体に絡みつく火柱の魔術は、時間と共にその肉体の皮膚を溶かし、骨まで焼き尽くす――、筈だった……。 「くそっ!」  自己レベル最強の魔術が一瞬にして防御された次の瞬間、奴はあざ笑うかのように同じ魔術を選択し僕のプレイヤーキャラクターの身体に火柱を巻きつけ身を溶かし骨まで焼き尽くす桁違いの魔力差を見せつける。  映像には火葬される姿がライブ配信され、目を覆いたくなる光景と共に告げられる警告が背後から浮き上がる。 『DEAD END(行き詰まり)ab8a0c48-dba4-4f4f-8ae6-7d6ab3d48d09
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