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ざわざわといつもより騒がしい森の中。
誰かの絶叫と、ベシャ、バキッと、嫌な音がする。
ガサガサと何かを漁る音。盗賊か、腹を空かした狼か。
だが、私は知っている。
(まったく。面倒なことをしてくれるな)
最近、森の中で殺人が多発している。
おかげで、それに便乗して恨んでいる人間を殺して捨てるどこの誰ともしれぬ奴の濡れ衣を着せられて、こちらはイライラしているというのに。
月明かりを見上げる。
そこに交差する、銀色の鎖が明かりを反射し、冷たく輝いていた。
居たぞ! という叫び声。
クソっ、と悪態をつき、逃げ出す音。
(いい加減にして欲しいものだな。お前の弟には)
私は弄んでいた大剣を消す。
長い髪が風になびく。
それを感じながら、私は歩き出した。
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