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 待ち合わせの時間より30分も過ぎてようやくその人が来て僕たちはファミレスに入った。 「すっぽかされたと思いましたよ」 「わりぃ、駅着いてから財布忘れたの思い出した」 僕は店長に頼んで誠さんの連絡先を教えてもらった。 店長は「なんで誠?」って疑問そうだったけど。 「辰巳から釘刺されたよ。お前をゲイに引っ張り込むなよって。あいつまだ気付いてないんだな」 「店長モテるけどにぶいですから」 「恋愛音痴だしなー」 誠さんは僕が店長を好きって気付いてるし、店長とは長い付き合いだから話を聞くには適任だった。 「で、辰巳と従兄弟の関係を聞きたいんでしょ?ってことは大体普通の関係じゃないってわかってるんだ?」 「向こうから僕のとこ来ましたからね」 「は?マジで?どんなんだった?」 「誠さんは会ったことないんですか?」 「ていうかそれ大丈夫かな…完全に目ぇつけられてんじゃん」 店長にくっついていれば譲さんに会う機会はいくらでもあるだろうけど、誠さんは敢えて避けていたらしい。 店長の話を聞いていくうちに誠さんも譲さんを異常に思う様になったそうだ。 その反対に店長は初めは警戒していたのに、徐々に譲さんをなぜか必要に感じてしまっているという。 「俺も初めは親戚とセフレなんて珍しくないとか言っちゃったもんなぁ〜」 「…ちょっと待って下さい。セフレって…?あの2人がですか?」 「え…お前知ってるんじゃないの?」 「僕はただ…譲さんが店長が好きなんだって気がついただけだったんですけど…」 「ヤベ…俺また余計なこと言っちった」 「…そもそもどうして2人はそんな関係になったんですか?」 「学生の頃ふざけて抜きあっこしてたら勢いで入れられちゃったんだっけな」 「……学生の頃から」 「あいつアホだよな。学生の頃からっつっても俺が会った頃は従兄弟いなくなってたんだ。何年か前また現れたんだよ」 「譲さんは相当店長に執着してる様に感じました。なのに店長が女性と付き合うのは許すんですか?僕は男だからダメなんでしょうか?」 「俺も従兄弟が何したいのかよくわかんないよ。でも全く辰巳の女関係にも無関心てわけでもないと思う」 「どういうことです?」 「ここからは俺が話してないから辰巳も知らない話なんだけど…」 誠さんは知ってる限りを話してくれた。 最終的には「あいつじゃなくても必ず出会いはたくさんあるから。辰巳は諦めろと」と改めて言った。 店長の問題は元カノの存在だけと思っていた。 全然思っていたのと違う。 僕は話を聞いて怖気付いた。 初めから誠さんの言うことを聞いていれば良かった。 何やってんだよ店長…。 従兄弟とセフレって点でかなり引いた。 そんなんで元カノに未練タラタラなのも意味がわからない。 でもそれとこれとは別問題に僕の気持ちはすでに育ってしまっている。 諦めた方がいい。 答えが僕の中で出ていたけれど、せめてこの気持ちは伝えたいと思った。
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