告白

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告白

次のバイトで店長と一緒になったら告白する決意をした。 いざその日になると朝から元気がでない。 初めての告白が諦める為にするなんて… 「誠遥に変なことしてない?」 問題は誠さんじゃなくて譲さんですよ。 あと店長自身も… もうお店も終わりが近くなり最後のお客さんが帰って片付けをしてた。 「遥今日ずっと元気なかったけど、何かあったのか?」 「店長…」 「俺なんかで良ければ聞くよ?」 今日ずっと僕の心配してくれてたのかな。 嬉しい。 でも悲しい。 「僕…店長が好きです。誠さんにはその相談をしました」 「…!?」 店長は全く僕の告白は想定外って顔で驚いてた。 「でも店長と譲さんは特別な関係だから諦めろと言われました。それは本当ですか?」 店長には彼女もいるけれど、敢えて譲さんのことを話す。 もはや彼女の存在よりそちらの方が大問題だから。 「…いや」 「本当のことを話して下さい。僕も勇気を振り絞って告白しているんです」 「…ゆずと…俺は……」 「譲さんとも付き合っているんですか?」 「ちがう。セフレみたいなもんなんだ」 この2人の関係をセフレという名称にするのは違う気がした。 セフレってセックスフレンドってことだよ? フレンドなんかより複雑じゃないか。 「店長が僕のことを好きになってくれなくてもいいから、お願いがあります」 「…何?」 「譲さんとの関係は終わらせて下さい」 「…どうして」 「どうしてって本当にわかりませんか? そんな関係良くないです。あの人は異常に店長に執着しています。このままでいるのは危険です」 店長はすごく困っている風に見える。 待っても待っても…僕の望む返答はもらえない気がした。 「こんな事言った後ですけれど、僕はこれからもここで働いてもいいですか?」 「当たり前だろ」 「…良かったです。この告白を期に店長のことは諦めますから…今まで通り仲良くして下さい」 諦めるって辺りで僕の目から涙が溢れた。 声も上擦った。 泣いてる僕を店長は優しく抱きしめて「ごめん」って何度か言った。 そのごめんは俺に対して? どうして譲さんとは切れないの? まだまだ問い詰めたいけれど涙でその気力まで湧かなかった。 背中に手を回して店長の温もりを噛み締める。
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