動揺

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動揺

遥の様子がおかしい。 誠の連絡先を教えたからだろうか? 誠は…良い奴だけど遥に興味を持ってたから変なことになってなきゃいいけど。 万一誠に遥が影響されてしまったら俺の所為かも…。 「俺なんかでよければ聞くよ?」 「…店長」 切な気な目をしていた。 いつも明るい彼らしくない。 やっぱ何かあったっぽいな… 「僕…店長が好きです。誠さんにはその相談をしました」 店長って…俺だよな? 俺のこと?って一応確認したくなったけれど、遥の真剣な目は俺へ向けられていて、そんな事聞いたら失礼だと咄嗟に思ってやめた。 しかし信じられない。 だって普通に元カノの話とか今の彼女の話もしてきたし… 遥はよく懐いてくれてると思っていたけれど、それが恋愛感情だとは思ってもみなかった。 「でも店長と譲さんは特別な関係だから諦めろと言われました。それは本当ですか?」 譲? 誠は遥になんて話ししたんだよ。 まだ高校生の遥に俺たちの関係は言えたものじゃないだろ。 「譲さんとの関係は終わらせて下さい。あの人は異常に店長に執着しています。このままでいるのは危険です」 異常…執着…危険… 何言ってんだ遥。 ゆずはただの従兄弟だ。 体は重ねているけれどそれ以上でも以下でもない。 俺には彼女もいる。 過去にはちゃんと愛せた人もいた。 ゆずは奈々に捨てられて沈む俺にも寄り添ってくれた。 変な言動が気になることもあるが危険なんて大袈裟だろ。 でもどこかで俺の考えよりも遥が正しいんだろうとも思った。 よく子供は心がきれいだから霊が見えるって言うのと同じ感覚で。 遥が子供だって意味ではなく、俺は今の自分の現状がきれいなものでない自覚があり、真剣に想いをぶつけてきた彼は俺たちの関係に対してずっと清らかな存在に思えた。 自分の動揺を少しでも隠せる様に涙を流す遥を抱きしめた。
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