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いらない
「どうしたのたー君?今日は上の空だったね」
「そう?」
「うん。良くなかった?」
「そんなんじゃないよ」
ゆずと定期的にセックスすることに俺はすっかり慣れてしまっていた。
他人に知られて改めて思うと異常だよな。
「何考えてるの?教えてよ。仕事で何かあった?」
「…俺たちっていつまでこんなこと続けていくんだろうな」
「こんなことってセックス?」
「そう」
「俺はたー君さえいてくれたらセックスばかり毎回しなくてもいいんだよ。でもたー君はもうそれじゃ困るんじゃない?」
「どういう意味だよ」
「ふふ、わかってるでしょ。彼女だけで満足できるの?」
楽し気に後ろから抱きしめられる。
ゆずには何でもバレている。
というかゆずによって俺の体は後ろの刺激を求める様になっていた。
一夜に何度も達してしまうゆずとのセックスは気持ち良かった。
彼女とするよりも格段に。
今は彼女ができても好きなのかわからないし、セックスしても物足りなさを感じて何やってるんだろう…って気持ちになる。
「俺は何がしたいんだろう…」
どうしてこうなってしまったんだっけ?
もう月日が経って忘れてしまった。
「たー君はさ、誰も愛していないんだよ」
「は?」
「由美さんから離れたくて彼女の家ばかり住む様になったんでしょ。快楽に没頭したら考えなくてもいいから都合良かっただけだよ」
「…だけど奈々はちゃんと愛してた」
「ああ、俺たちが再会した時の子ね。由美さんとは全く正反対のタイプで良かったんじゃない?でも結局たー君はペット扱いだっただろ?」
「…それでも俺は愛してた」
「1年も続かないで終わったじゃないか。あの人の気持ちはたー君になかったから。いくらたー君が好きでも、2人を繋ぐものがないと簡単に終わってしまうんだよ」
ゆずは時たま饒舌になるけれど、今日はどうしたんだろう。
俺が俺たちの関係について言ったから怒ったのか?
ゆずを振り返ってみると、別に怒ってる風でもない。
むしろ機嫌は良さそうだ。
「2人を繋ぐものってなんだよ」
「俺とたー君がまさにそうだ」
「俺たち?」
「たー君が何人彼女が変わろうと俺とたー君の関係は変わらないよね?俺たちに終わりはないんだよ。これからもずっと。ずっと」
「…でもそれは家族だから…」
「俺わね、母さんが自殺したの見た時不思議なくらいなんとも思わなかったんだ。だから冷静に対応できた」
「そんな…」
「それではっきりしたんだ。俺とたー君は家族って意味での特別だし、それだけじゃないんだ。母さんが死んで今までよりもクリアに俺にはたー君なんだってわかったんだよ」
ゆずが真由美さんのことを話すのは再開してから初めてだった。
そんなことを思っていたのか。
真由美さんはヒステリックな母さんに比べてもっと優しい人だった。
どうしてゆずはなんとも思わなかったなんて言うんだ?
「んんっ?」
お互いまだ服を着てなかったからはっきり肌で感じる。
ゆずのものはいつの間にかまた硬くなって俺の尻の割れ目をグリグリ押し始めた。
「言葉にしたらもっとたー君が愛しくなってきちゃったよ」
まだ緩んでぬめりがたっぷりある後孔へ無遠慮にゆずは入ってきた。
「あぁーん!」
そのまま数回突き上げられただけで俺は簡単に達してしまった。
急な快感に体が震える。
「ほら、こんなにたー君の体は俺で感じてる。もう彼女なんていらないんじゃない?たー君」
彼女…いらない…のか?
そうすれば俺の頭は少しはすっきりするだろうか。
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