相談

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相談

「いらっしゃいませ…なんだ誠か」 「よっ!相変わらず任されっきりなんだな」 「さっき店長も来たけどすぐ帰ったぞ」 「いいよ。今日は辰巳がんばってるかなって見に来ただけだから。コーヒーちょうだい」 「うん」 誠は同じ短大出で元々ここでバイトしていた。 俺がここで働き出したのも誠の勧めだった。 「今辰巳の他に何人雇われてるの?」 「一応3人いるよ。でも店長はほとんど来なくなった」 「頼られてんだよ。俺が働いてた時はほとんど1人でなんて立たされてもらえなかったぞ」 「お前スーツの男来たらずっと目で追うからだろ。オジ専」 「うるせー」 もしゆずが来た時誠が居たら騒いだに違いない。 ゆずはまだ若いけどスーツ着てるあいつは実年齢より大人っぽい。 偶然ラブホで部屋を選んでいる時に誠とばったり会ったのがきっかけだった。 ちょうどグループ課題で同じ班になったばかりだったから顔を覚えてた。 誠は40代くらいのスーツのおじさんに腰を抱かれて歩いてきた。 向こうも俺に気付いて顔が硬直していたけど無視して彼女と部屋へ向かった。 幸いその当時の彼女は社会人で全く誠を知らないし、俺も誠と学校以外で関わるつもりはなかった。 なのに翌日誠が俺を呼び出した。 「あのさ…昨日の…」 言葉を詰まらせているのが痛々しく思えた。 俺はなんとも思ってなかったから。 安心させてやるつもりで「俺も男経験した事あるし気にすんな」って言ってやった。 そしたらコロッと態度が変わって、やたら俺の話を聞いてき出したし、勝手に自分の事も話し出した。 どうやら相当苦しんでいた様だ。 友達の前で女に興味があるフリをする事。 それと偽らないと続けられない友情に疑問を抱いて人間不信みたいになってた。 「なぁ、お前って何回目くらいから男とやるの気持ち良くなった?」 「どうした?やっと俺のこと抱く気になった?」 「バーカ。で、どうだった?」 「俺の場合、男とできるって事に興奮してたけど実際何回か経験してから気持ちよくなったかなー? 自分でも良くなれる様に日々後ろの開発してたし」 「そこまで聞きたくなかった」 「なんなんだよ!」 「2回目でしかも何年も経ってるのに気持ち良いもんなのかな」 「なんだ?ちゃんと説明しろよ」 「前話したじゃん。従兄弟とやっちゃったって。久しぶりに会ってまたやったんだけどすげー気持ち良かったんだよ」 「マジで!?辰巳もう男はいいって言ってたじゃん」
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