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「今日って何日だっけ?」
「7日」
「毎月7日を記念日にするか」
「アハハ、どういう基準で。まさかつき合い始めた記念みたいな? 違うよ、記念日って誕生日とかそういう意味で……」
「特別な食事だろ?」
「特別といっても高級ディナーフルコース、みたいなやつじゃなくて」
「わかってますよ、楽しみにしておけ」
「うわ、すごい。信用してます!!!」
「そういうとこだけ」
丈はやっぱり、頗る楽しそうだ。
私も楽しい。
でもやっぱりなぜか少し泣きたくなった。
公ちゃんも丈といるとホッとするのだろう。勿論信じているよ、料理以外も。
抱きしめられながら少し眠くなってきて、無意識に自分からも丈に抱きついていた。
抱き枕みたい。ごつごつしてはいるが。
昨日も、あんなに泣いたのが嘘みたいに安眠できた。おかしな夢はみたけれども。
「仕事終わって気が向いたらここに寄って。夕飯くらい作っておくから」
「え、いいよ丈も忙しいのに。無理しないで? それに私とは全然時間が合わないよ」
「そうだな、碧の仕事が終わる時間に俺がいることはまずないだろうから。でも無理じゃないしいつでも来ていい。会社近いんだし、休憩所だと思えばいいじゃん。ユニットバスしかないけど、泊まれないこともない」
そう言うと、ベッドサイドの引き出しから古びた銀色の鍵を取り出し、私に手渡す。
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