5.甘い手

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「今日って何日だっけ?」 「7日」 「毎月7日を記念日にするか」 「アハハ、どういう基準で。まさかつき合い始めた記念みたいな? 違うよ、記念日って誕生日とかそういう意味で……」 「特別な食事だろ?」 「特別といっても高級ディナーフルコース、みたいなやつじゃなくて」 「わかってますよ、楽しみにしておけ」 「うわ、すごい。信用してます!!!」 「そういうとこだけ」  丈はやっぱり、頗る楽しそうだ。    私も楽しい。  でもやっぱりなぜか少し泣きたくなった。 公ちゃんも丈といるとホッとするのだろう。勿論信じているよ、料理以外も。  抱きしめられながら少し眠くなってきて、無意識に自分からも丈に抱きついていた。  抱き枕みたい。ごつごつしてはいるが。 昨日も、あんなに泣いたのが嘘みたいに安眠できた。おかしな夢はみたけれども。 「仕事終わって気が向いたらここに寄って。夕飯くらい作っておくから」 「え、いいよ丈も忙しいのに。無理しないで? それに私とは全然時間が合わないよ」 「そうだな、碧の仕事が終わる時間に俺がいることはまずないだろうから。でも無理じゃないしいつでも来ていい。会社近いんだし、休憩所だと思えばいいじゃん。ユニットバスしかないけど、泊まれないこともない」  そう言うと、ベッドサイドの引き出しから古びた銀色の鍵を取り出し、私に手渡す。
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