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鷲尾さん
いつもお留守で
言えずじまい
手紙でごめんネ
三日後 出てって
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「……は?」
心も体もズタボロ状態で深夜に帰宅した鷲尾は、玄関ドアにでかでかと貼ってある紙の前で立ち尽くした。
「三日後? なんでだよ! ちゃんと家賃払ってんだろ!!」
筆ペンで流れるように書いたっぽい字はとても達筆で、イライラに油をそそぐ。
ついでにいうと、五七五七七の短歌っぽい書き方も気に食わない。
「絶対に出てかねぇぞ!!」
ふんぱつして買った高級高性能なオトナのおもちゃでこれから心身ともにリフレッシュしようと思っていた矢先に、この仕打ち。
イライラまかせに紙をひっぺがすと、なんともう一枚続きが。
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あきらめて
再開発で 取り壊し
アパート無くなる
さっさと 出てって
大家
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「取り壊し……っ!?!?」
失恋・交代・立ち退きのショック三重奏をたった半日でいっぺんに味わってしまった男・鷲尾 樹は『きっと悪い夢でも見ているのだ』と、現実逃避を始めずにはいられなかった。
二枚の貼り紙を握りつぶし、「冗談だろ!」と吐き捨てながら我が家に入る。
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