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「ボクはなんてバカなんだホント……ほんとバカ……。いつまで経ってもプロになりきれない。にじっぴとも上手に喋れない……」
一條さんは独り言のようにつぶやき、「こんなこと鷲尾くんに話しても無意味なのにね」と自虐にトドメを刺した。
愚痴を聞かせてしまったねと鷲尾を気遣い、へたっと気が抜けたような笑顔を浮かべる。
心労を隠しきれていない。
おそらく、鷲尾以上に疲れている。心も体も。
それでもコーヒーを鷲尾のぶんまで買ってきてくれたのだ。
お子様舌の鷲尾が愛飲しているのは甘みマックスのミルクコーヒー。
地下階の自販機でしか売っていないはずなのに、わざわざ行き来してくれたのだ。
鷲尾は黙って缶のフチを胸にあてがった。一條さんのあたたか〜い思いやりが骨身に沁みる。
愛が末端までめぐっていく、擦り切れた精神が回復していく。
エロいこともあんまり考えたくなくなって、プラトニックに想う。
一條さん、LOVE!
キャーキャー叫びながら、でっかいうちわを振りまくりたい気分だ。
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