第2話 失恋と立ち退きと中の人

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   「ボクはなんてバカなんだホント……ほんとバカ……。いつまで経ってもプロになりきれない。にじっぴとも上手に喋れない……」  一條さんは独り言のようにつぶやき、「こんなこと鷲尾くんに話しても無意味なのにね」と自虐にトドメを刺した。  愚痴を聞かせてしまったねと鷲尾を気遣い、へたっと気が抜けたような笑顔を浮かべる。  心労を隠しきれていない。  おそらく、鷲尾以上に疲れている。心も体も。  それでもコーヒーを鷲尾のぶんまで買ってきてくれたのだ。  お子様舌の鷲尾が愛飲しているのは甘みマックスのミルクコーヒー。  地下階の自販機でしか売っていないはずなのに、わざわざ行き来してくれたのだ。  鷲尾は黙って缶のフチを胸にあてがった。一條さんのあたたか〜い思いやりが骨身に沁みる。  愛が末端までめぐっていく、擦り切れた精神が回復していく。  エロいこともあんまり考えたくなくなって、プラトニックに想う。  一條さん、LOVE!  キャーキャー叫びながら、でっかいうちわを振りまくりたい気分だ。  
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