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そのまま、リモコンと一緒に部屋にあったティッシュの箱を手に持つと、二人の間に置き直す。
「何これ」
「何って、シコりながら見るっしょ。イキそうになったら使ってください」
「ちょ・・・え?」
ことも無げにいうと、隣でかちゃかちゃとベルトを緩め出した。
・・・待ってくれ。こんなこと、拓ともしたことねえよ。こういうのって当たり前なの?陽キャの常識ってわっかんねえ!
動揺が止まらないうちに、DVDの再生が始まる。こういう類の映像あるあるなのか、なんの前振りもなく急に話は始まった。
清純そうなセーラー服姿の女の子が唐突に現れる。
棒読みで男を煽るセリフを吐きながら、使い捨ての手袋をはめて男優のそばに腰を下ろした。
男優は服を脱いだ状態で、露わになった下半身には、すでに上を向いたものが硬く膨らんでいる。女の子は男優の両足にはさまれるように座り込むと、そこを口に含み、うっとりとした顔でしゃぶっていた。
・・・やっば
心臓がばくばくと暴れるように波打っていた。思わず下半身をぎゅっと抑える。まだ序盤だというのに、すでに信じられないくらい硬くなっている。
思いっきり触りたいけれど、横に人がいると思うと気が散って勇気が出ない。
笑い声が聞こえた気がして隣を向くと、渚がこっちを見ていたずらっぽく口を歪めていた。
「はっや。もうキツそうじゃん」
余裕そうな表情に腹がたつ。こいつより絶対に先にイッてなるものかと思っていたら、渚はお構いなしに、緩く勃ち上がった自身のそれを取り出して握った。
一砂のものよりもはるかに長く立派なそれを見て、心が怯む。昂っていた気持ちが急速に冷めていき、硬くなったそこはどんどん萎んでいった。
こんなもん持ってる奴の横で、自分のなんかしごけるかよ・・・!
気を取り直そうと画面を見ると、女の子が今度は男優のものを上下にしごきながら、後ろの穴に優しく指を出し入れしていた。
隣から吐息が漏れ聞こえる。
気になって横目で見ると、画面の女の子に合わせて手を上下に動かしていた。熱に浮かされたような瞳が黒く濡れていて、わずかに息を荒くしながら喉を鳴らしている。
画面に釘付けになった瞳から、理性の気配は影を潜めていた。相変わらず、どこか冷めたような表情をしているのに、欲に染まった瞳は獰猛な肉食獣のように強い光を放っている。
・・・どんな顔して、しごいてんのかと思ったら
普段はクールな印象の渚。どこか独特で近寄りがたい雰囲気をまとっているのに、ひとたび言葉を交わすと、人懐っこくて憎めない。
そんな渚が、整った顔を無防備に歪めて、夢中で手を動かしている。
渚の動きが一瞬止まり、苦しげに眉間にシワを寄せた。ぎゅっと先端を握り込み、そのまま体を大きく震わせる。
一砂の心臓が強く跳ねた。
渚は横に置いていたティッシュを二、三枚まとめて掴んだ。手をぬぐい、可笑しそうな声をあげる。
「久々に見ると、テンション上がるわ」
その瞳はすでに落ち着きを取り戻していた。いつもの眼差しが一砂に向けられる。
どくん、と、鼓動がひときわ強くなる。どくんどくんと、心臓が動くたび、何かが全身に送り出される。
上昇していく体温。指先が震えた。
気づくと、萎えていた自身の熱が、力強くそそりたっていた。
・・・やばいって。まずいって。こんなの
一砂は生唾を飲み込む。すでに渚から目を離せなくなっていた。
・・・俺、画面じゃなくて、渚をみて興奮してる
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