ss/ 愛しい声

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「うっ…ふっ…」 ついに泣き出してしまった私はどうすることも 出来なくて、ただ涙を流した。 気を抜いたら子供みたいに声を上げて泣いてしまい そうなそんな中で、突然ドアが開く。 「どうしたのっ!?」 部屋に入って私の姿を見た昴君は慌ててこっちに 駆けてきた。 サイドテーブルにコトリとカップを置いたと 思ったら、すかさずベッドの脇に座る。 そして未だに泣いている私の顔を覗いた。 「苦しい?」 「…っ」 「痛い?」 心底、心配そうに聞くからかえって涙が出る。 昴君の優しさが沁みてきて言葉に出来ない。 落ち着こうと息を深く吸って、そしてゆっくりと 吐いた。 「嫌いにならないでっ…」 やっと出てきた言葉はそんなので。 熱のせいもあってもう頭はパンク状態だから しょうがないんだけど。 相変わらず涙は止まらないし、鼻水まで出てきて 必死にすすってるしで、きっと今ひどい顔をしてると思う。 昴君は一瞬、驚いたみたいに動きを止めたけど すぐにはぁっとため息をついた。 …やっぱり今ブサイクなんだろうな私。 そんなことを考えていたら、昴君の手が伸びてきて ぎゅっと私の鼻をつまんだ。 「俺をみくびらないでよね。」
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