惑わせる声

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そんな話をしているうちにお料理が運ばれてくる。 テーブルに並べられた前菜はお皿に綺麗に 盛り付けられていて、どれも美味しそう。 どれから食べようかなってワクワクしてたら 瀬戸君は然り気無くまたシャンパンを注文して いた。 「食べましょう。」 そう促されて恐る恐る前菜に手をつけた私は 予想以上の美味しさに思わず唸る。 それを見た瀬戸君は満足気に笑っていて、何だか 恥ずかしくなった。 追加で注文したシャンパンは今度は瓶で運ばれて きて、馴れた手つきで空になった私のグラスに 注いでいく。 「この店のオーナーが僕の知り合いなので、本当に 遠慮しないでたくさん食べて飲んで下さいね。」 「ありがとう。」 オーナーさんと知り合いって聞いて少し気持ちが 楽になった私は、言われるまままたシャンパンを 口にした。 次々に運ばれてくるお料理。 そのどれもが文句なしに美味しくて、楽しくなって しまう。 そして気を遣わなくていい相手が居ると、どんどん お酒も進んでいく。 美味しいお料理と美味しいお酒。 メインのステーキを食べ終わる頃には、もう すっかり酔いが回っていた。 心も体もふわふわふわふわ。 「真白さん?」 「なぁーに?」 「帰りますよ。」 「んー。」
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