惑わせる声

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【このまま押し倒しちゃおうかな。】 オデコに落ちた優しいキスとは裏腹に、聞こえて きた心の声はかなり危ない内容。 もう何が何だか訳が分からなくなった私は 慌てて体を離した。 「瀬戸君っ…!?」 こっちは軽くパニック状態なのに、瀬戸君は特に 気にしている様子はなくて、いつも通り王子 スマイルを浮かべてる。 ううん。 いつもよりも更にキラキラの。 「真白さん。 昨日出来なかった話をしてもいいですか?」 ズルズルと後退りする私にキラキラ王子スマイル 全開で迫りくる瀬戸君。 何故だろう。 その笑顔の後ろから不穏なオーラを感じる。 そうしていつしか逃げ場をなくして、壁に 追い込まれてしまった。 背中は壁。 目の前には瀬戸君。 「は、話って何…?」 完全に包囲された私は、とりあえずそう聞き 返した。 そうだよ。 そもそも話があるからってディナーに誘われたのに 何でこんなことになってるんだろう。 にこりと眩しいくらいの笑顔を浮かべた瀬戸君は その綺麗なお顔をゆっくりと近づけてきた。
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