惑わせる声

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「ねぇ、真白さん。 僕なら真白さんが酔って絡んできても、コケても 寝起きに変な顔してたとしても気にしませんよ。」 「えっ?それって…」 どこかで聞いたことのあるフレーズを並び立てる 瀬戸君は、何故かどんどん距離を近づけてくる。 「と言うか、真白さんは酔ってもコケても 可愛いですし。 あ、もちろん寝起きの顔も。」 ───あっ思い出した。 今の全部、私が昨日言ったことだ。 なんて考えている間に、いつの間にか瀬戸君との 距離はほぼなくなっている。 少しでも動いたら触れてしまうこの近さに 息が詰まって、クラクラしてきた。 「だから僕としませんか?」 「何をっ…?」 もういっぱいいっぱいで頭の中がぐるぐるしてる 私の左手をとって、まるで見せつけるように薬指 へとキスを落とす。 それはそれは王子様のように。 「結婚ですよ。」 その瞬間、ぶわっと一気に熱が掛け上がった。 …嘘。 冗談だよね? 一瞬からかわれてるのかと思ったのに 【絶対に俺と結婚したいって思わせる。】 ───再び聞こえてきた心の声が、嘘でも冗談でも ないことを証明してしまったんだ。
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