君の声

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「おめでとう!」 そんな、たくさんの祝福の声に包まれた中を 私は歩く。 慣れないヒールに慣れない裾の長いドレス。 私のことだからいつまたコケてもおかしくないけど …大丈夫。 だって隣には彼が居るから。 見上げた先には相変わらず綺麗なお顔が。 一応会社の人達も居るからか、やっぱり王子 スマイルを浮かべてる。 白いタキシードを着た彼は本当に王子様みたいだ。 チャペルを出た所で突然、引き寄せられたと 思ったら不意打ちのキスをされた。 その瞬間わあっと上がる歓声。 私は恥ずかしくて、思わず手にしていたブーケに 顔を埋める。 「…誓いのキスはさっきしたでしょっ。」 「うん。これは牽制。 真白さんを狙ってた奴にとどめを刺しとか ないとね。」 まるで以前聞こえていた心の声のような台詞に ドキッとさせられる。 私の旦那様は本当は王子様なんかじゃないらしい。 「さあ、行くよ。」 そう言って差し出された手を掴めば、ぎゅっと 握り返された。
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