ss/ 私の声

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…天然小悪魔? 聞きなれないワードにポカンとしてしまう。 今の流れの一体どこに小悪魔要素があったのか 分からない。 「私、小悪魔じゃないよ?」 「小悪魔です。」 即答されてしまっては、返す言葉が見つからない。 小悪魔はむしろ昴君の方だと思うんだけどな。 なんて言ったところできっと、また即答で否定 されるんだろうけど。 あまりに強く抱き締められてて苦しくなった私は その腕の中でもぞもぞと動き、なんとか顔を 上げる。 そして見てしまった。 昴君の耳が仄かに赤く染まっているのを。 それを見て初めて理解した。 ───名前で呼ばれたことに照れたんだって。 「昴君。」 もう一度、気持ちを込めて名前を呼べば少し 緩められる腕。 見上げた先にはバツの悪そうな顔。 頬は耳と同じくやっぱり少しだけ赤く染まって いる。 いつもどっちが年上だか分からないくらいに しっかりとした昴君の初めて見た、そんな飾らない 顔にキュンとまた胸が鳴った。 「いきなりそんな可愛く呼ぶのは反則だろ。」 そう溢した昴君に、名前で呼べって言ったのは そっちなのにって思ったけど、あえて何も言わないでおくことにした。
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