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その凄腕の専務とやらは、
25歳らしい。
街中でスカウトされるくらいの、
イケメンらしい。
そんな噂がまことしやかに流れ始めた。
ミツハシガールたちが
仕事中に雑談する声が、暢子の耳にも入ってくる。
「専務の名前、榎本龍大っていうらしい」
「りゅうた君ね。カワイッ」
「名前で検索してみたんよ、東大のバスケ部」
「「「顔ある??」」」
4,5人が群がり、スマホをチェックする。
「集合写真で小さくて見えない。でも雰囲気カッコよさげー」
「ねーねー専務ってことは、秘書つくよね。私なりたいんだけど」
「え、ずるい。私もー」
「だったらさ、みんなでかわりばんこにやろうよ」
暢子は書類を整えると、それを持って経理課に向かった。
弥生が電算をしている。
「あ、どうも」
弥生が暢子を見てニコリと笑った。
暢子もお辞儀をする。
「あなたのこと、推薦しておいたから」
「え?」
「フフ」
推薦ってなんだろう。
暢子は首をかしげながら、その場を立ち去った。
その謎がとけるのは、1週間後のことだった…。
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