6月下旬

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6月下旬

転勤が決まった。 社会人になって5年と少し。もうじき28歳になる。 よく考えたら大学生活より長い時間をこの職場で過ごしていたわけで、まぁ頃合いなのかもしれないけど、何だか少し淋しい。 お客さんと直接接する田舎町の現場仕事から、本社の内勤だと伝えられた。 一応、栄転だと言葉のお尻に付け加えられたが、業績不振のこの現場からの口減らしのような気もしていた。 立ち仕事からデスクワークへ。 田舎から都会へ。 あと数週間のうちに僕の生活はガラリと変わる。 悲しかった。 嫌だった。 新入社員時代からお世話になった人達との別れも悲しい。 赴任した時は何も無さすぎてうんざりしたけど、のどかでのんびりとしたこの土地から離れることも今となっては辛い。 そしてとにかく単純に、デスクワークが嫌だった。 そもそもデスクワークなどしたくないからこの仕事を選んだのに、何故今になって急に内勤などさせられなければならないのか。考えれば考えるほど嫌になってくる。 確かに僕は人見知りもするし口が達つわけでもないが、それでも何とか接客してきた。 理不尽な客に当たり、バックヤードでブチ切れていたことも何度もあったけど、まぁ反省している。 どちらかと言えば内向的なので表に立つより裏でウジウジとデータ整理なんかをしていた方が好きだったけど、接客時は騙し騙しその場は凌いでいた。 そもそもよく考えたら接客自体別に好きでも何でもなかったけど、そこは僕も大人なので我慢して何とか心を誤魔化していた。 というより基本的には人間嫌いだし、むしろ他人は全て敵くらいに思っているから、どう考えても接客には向かないのだけど、何故かこの仕事をしていた。 何故この仕事をしていたかは今となってはもうよくわからず、何か惰性で続けていた感は否めないが、明らかに僕には接客が向いていないことは確かだ。 どう考えても僕は接客より内勤のが向いている気がするが、やっぱり見てくれている人は見てくれているということだ。 うん。ラッキーだわ。 ありがたいわ、この話。 アバヨ現場。俺は新天地に行くぜ。アデューッ☆
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