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もういつ頃かよくわからん
髭を剃るのが面倒臭い。
何にも増して面倒臭い。
毎日5~10分。無駄過ぎる時間。
剃っている間何を考えていればいいのか、23、4年間生きてきても未だに解らない。何も考えず剃ればいいのかもしれないけど、そんな急に無心になれる程僕は悟りを開いていない。
でも一応会社勤めな以上、髭を剃らねば周囲の目もあるし、自由な社風の会社でもないからやっぱり毎日剃らねばならない。
いっそ脱毛してやろうかとも考える。
でももし僕が将来、ラベンダー香る高原とかに移住し、何かゆらゆら揺れる椅子とかに揺られながらやたらとデカい犬を愛でることになったとしたら、その時は髭をたくわえないといけない気もする。となると脱毛という選択肢は無い。髭の無い男に北アルプスでデカい犬を愛でる資格は無いのだ。
男に生まれた以上、やっぱり最終的にはハイジのお爺さんを目指さねばならないし、そうなるとどうしてもヨーゼフを愛でる必要がある。
もし仮にデカい犬を愛でられないのであれば、一体何を愛でればいいのだろう。別に僕は特段犬好きではないけれど、犬以外にオンジが愛でるべき対象が思いつかない。インコとかを愛でればいいのだろうか。
それはそれで可愛らしいから有りな気もする。
じゃあインコを愛でると仮定して、オンジの口元がツルツルだったとしたらどうだろうか?
想像してみる。
やっぱりちょっと違う。
犬とかインコとかユキちゃんとか関係なく、やはりオンジをオンジ足らしめるものはたくさんの髭だ。
やはり髭は要る。
オンジになるためには髭が。
髭が要るのだ。
でも剃るのは面倒臭い。
そう考えながら髭を剃っていたら、手元が狂って顎下の吹き出物を盛大に潰した。痛い。
やっぱり髭を剃るときは無心となりドッシリと構えねばならない。オンジのように。
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