羽虫

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 がんがんとした頭痛で目が覚めた。あたりは真っ暗で少し肌寒かった。いったいいつ眠ったのか全くもって覚えていなかった。  電気をつけて時計を見ると深夜の2時であった。何とも縁起の悪い時間に目が覚めたものだと思った。寝ぼけ眼をこすってトイレにでも行こうかと思った時、視界の左半分が見えていないことに気が付いた。よく見ると、見えていないのではなく、視界が何かでふさがっているようであった。目をこすってみても何も違和感はない。これは間違いなく羽虫の集合体であると理解した。そのとたん、嫌な汗が流れだして気分が少しずつ悪くなっていくのが分かった。  私はすぐさまSから一本取りだして一服した。しかし、依然羽虫は視界を覆っている。すかさず二本目に火をつけて口に咥える。  そうしていると次第に落ち着いていき、視界を覆っていた羽虫が消えていった。  タバコを流し台に押しつけ消すとトイレにこもって頭を抱えた。
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