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入学式も終わり、ホームルームも終わり自己紹介もやり終わった初日に話しかけられたのは
俺の周りをウロウロとする人。
「…そういえば、幽霊かなんかなの…?俺以外には見えていないみたいだし…」
教室には下校した生徒がほとんどで俺以外誰もいなくなっていた。
「そうそう!僕、ずっと前に死んで何十年もぶらぶらしていたんだよね…誰とも話せなかったからさ、君が僕の姿が見えたって分かってすごく嬉しかったんだ!」
と、俺とそこまでかわらない年齢層にみえる
少年(?)は俺の手をぎゅっと掴み、ニコッと嬉しそうに微笑んだ。
「自己紹介がまだだった!僕の名前は三ヶ嶋 優(ミカジマ ユウ)!好きな物は甘い物!嫌いな物は苦い物!よろしくね!因みに幽霊だから誰にも見えないよ」
やや早口混じりに俺に自己紹介をしてくるこの三ヶ嶋優という少年は幽霊らしい…
幽霊って本当にいたんだな…。
「えっと…三ヶ嶋、くんだっけ?…なんで俺は君のことが見えるんだ…?」
元々、霊感なんてものはないはずだし見えたことだって一度もない。…けど、目の前にいるこの三ヶ嶋優という少年は嬉しそうに再度口を開いた
「きっと、僕の願いを叶えてくれるんだろうね。キミは」
幽霊の願いってなんなんだ…?まさか体を差し出せとか…?いやいや、そんな心霊的なことあってたまるかよ…
「え、えっと…願い、とは…なんでしょうか…」
掴まれたままの手はひんやりとして冷たい
本当にこの少年は幽霊なのだと確信した。
「あのね、僕を殺した人を探して欲しいんだ」
春、それは出会いの季節。
俺は一人の幽霊と出会い、これから起こる様々な出来事に巻き込まれていくことになる。
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