救われた落ちこぼれ

1/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
 高村郁代は年齢不詳の高校教諭。飛び切りの美人だから男子校生徒たちの間で花形先生と崇められている。しかし、同じ化学を担当する木田高志教諭と出来ていてツンデレ、つまり木田にはデレデレしているが、生徒にはツンツンしているので生徒たちは郁代に取り付く島もない。  そんな郁代が受け持つクラスには嶋豊作という落ちこぼれの生徒がいて、化学のテストで赤点続きなので彼女はオンラインで豊作に特別個別レッスンをすることにした。で、郁代は理科室にいて木田もいて彼は一瞬の内に部屋の中の空気を温かくする熱を発生させるべく化学実験していた。それは温室効果ガスを排出せずに暖房する方法を模索しているのに違いなかった。  豊作は郁代のレッスンを受けながらフラスコや試験管を置く音、薬品を注ぐ音や沸騰させる音が微かに聴き取れるので木田もいることを薄々勘付いていたが、郁代が憧れの的だから頭悪くて良かったと思い、デレデレになっていた。 「何で君はこんな問題も解けないの?」とツンツン顔で呆れたように言われても。それから郁代が意地悪く綻んだ時だった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!